労働に関する問題は、当事務所にご相談ください。

小規模事業の経営者様が抱えるお悩みに寄り添い、一緒に解決します。

松本社会保険労務士事務所

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労働者側の悩みを知って、労務管理を見直しましょう

経営者はもちろん、働く労働者側もいろいろな悩みを抱えています。

経営者は、雇用している労働者がどんなことに悩み、どんなことに不満を持っているのかを知って労務管理に役立て、会社の運営になくてはならない「人」という人材との良好な関係を構築しましょう。

労働条件関連

 

労働者の悩み:労働条件がはっきりしないまま雇われた。求人の労働条件と違う。

 

ではなぜ、重要な自分の労働条件を確認しないまま雇われたのか・・・・

→最初なのでいろいろ聞きづらかった

→聞いてもはっきり説明してもらえなかった

→こういうものかと思っていた

→そもそも「労働契約を結ぶ」という意識が欠けている

※働き始めてしばらくして、また有給休暇が発生する6ヶ月経過ごろ、いざ辞めようと思ったときなどのタイミングで労働者側の疑問や不信感が顕在化してきます。

※労働基準法上、労働契約を結ぶに当たって、労働条件(賃金、労働時間など)を明示することを使用者に義務付けており(労働基準法第15条)、さらに、重要な事項については必ず書面をつくりこれを労働者に渡す方法により明示しなければなりません。(労働基準法施行規則第5条第2項、第3項)

しかし現実は、自分の労働条件を確かめずに(確かめることができずに)仕事につく人は案外多いもの。事業主側も、働いてもらってからでないとその人の力量や人柄、仕事の向き不向きがわからない面があるため、ついつい、少し様子を見てから・・となりがちな点です。しかしそれはのちに、労働者側にしてみれば「こんな条件だとは思わなかった」という不満を生むことになります。そしてこれはすべての不満へとつながっていくことになります。一方、使用者側も働かせてみたら思ったように働いてくれない、働かない、業務に向いていないということで悩むケースも聞きます。

 

<重要ポイント>

労基法上、労働契約書を交わすということまでは求められていないが、少なくとも重要な労働条件については文書で示さなければ、紛争のタネとなる。

 

労働者の悩み:就業規則を見せてもらえない。

→そもそも就業規則があるのかわからない

→あるようだが、どこにあるのかわからない

→見せてくれといっても見せてくれない

※従業員が10人を超えると、労基法上は就業規則を作成して届け出ることになっています。(労働基準法第89条)10人は正社員だけで10人ということではなく、パートやアルバイトの方も含めて常時10人雇用していれば、当てはまることになります。

従業員が就業規則を見せてくださいと要求するときというのは、何か不満に感じているときや職場のルールや自分の労働条件がおかしいと思って確認したいと思っている場合がほとんどです。ですから、事業主側には見せたくないという意識が働いてしまいます。しかし、就業規則は、「常時各事業所の見やすい場所に掲示するか、または備え付ける」「各労働者に配布する」などの方法で労働者に周知しなければならないことになっています。ですから開示したくないような就業規則は、ないのも同じです。就業規則の雛形をそのまま引いてきたような就業規則はあってないようなもの。会社は業種や業務内容、従業員の人数、構成などによって千差万別。その会社にあったものにする必要があります。従業員に堂々と見せられる就業規則を作りましょう。

 

労働者の悩み:後から入った人のほうの時給が高い。

→自分のほうが先に入って経験もあるのに、後から入った○○さんの給料のほうが高いじゃないか

→自分の働いている会社が出している求人をみたら、自分の時給より高かった

※確かに経験があれば、その分給料がいいだろうと思うのは当然です。しかし、経験がある人の給料を高くしなさいとか、より長く働いている人の給料を短い経験の人より高くしなさいとかの決まりはありません。しかし、従業員の間に待遇に関する不満があれば、仕事に対する意欲の低下、事業主への不満につながります。会社が誰にどのようなやり方でどのような処遇をしていくのか、待遇面に関する不満を持たないで各人に仕事をしてもらうようにするのかは、きわめて重要な会社の労務管理上の問題といえます。

 

 

労働者の悩み:パワハラを受けている。

 →職場でこんなことを言われた、上司の言動が強圧的だ、「俺の言うとおりにやっていればいいんだ」

 →自分だけシフトからはずされた

→自分だけ監視されている

→同僚のいじめがひどい

 →個人的なことを根掘り葉掘りきかれる、言わないと仲間はずれにされる

→このように改善したらと進言したらいじめが始まった・・

 ※「パワハラ」の定義は明確なものがありません。参考となる「類型」として6つのものがあげられているにすぎません。

 労働者の側からしたら「こんなことを言われた!こんなことをされた!これってパワハラですよね!!」と言って相談してくるケースがほとんどですが、その言葉だけ、ひとつひとつの行動で切り取ってきて例示されても、それだけで判断できるものではありません。その言動や行動が業務にどの程度関連したものなのか、業務の指導の域を越えて人格的なところまでを傷つけられているのか、人それぞれ感じ方の違い等あって、これ=パワハラと決めることは困難です。しかし一方で、本人が「パワハラ」だと感じて訴えてくるのであれば、事業主側はそれはパワハラなのだと考えて対処していく必要があります。本人の言っていることは本当なのか、それに対する上司の言い分は正しいのか、どちらの言い分が正しいのかの判断を誤れば、結果的に大事な人材が辞めていくことになり、会社の経営にとってはマイナスになりかねません。

 

労働者の悩み:急にシフトを減らされた、週4日の契約なのに週2日にされた。

※労働条件の変更・引き下げは、両者の合意が基本です。事業主側が勝手にシフトを減らしたり週の労働日数を減らしたりすることはできません。経営上の都合や人員の配置等の都合からシフトを減らしたり週の労働日数を減らしたりする場合、一方的に変えるのではなく、労働者との話し合いや提案によって合意して変更することが不可欠です。そのようにすることの必要性や合理性をきちんと説明して合意を取り付けないで強引に実行するとトラブルを招きます。このように両者の合意が基本ですが、社員数の多い会社の場合は個々の合意を取り付けるのは容易ではなく、経営上、就業規則を変更することによってやむを得ず労働条件の変更をしなければ経営が立ち行かないという切実なケースもあります。しかしながら、就業規則の変更によって労働条件を引き下げることは簡単ではありません。原則として許されないと考えたうえで、変更に「合理性」があり、かつ、変更後の就業規則が労働者に周知されている場合には変更に反対の労働者にも変更の効力が及び、労働条件の引き下げが認められるというような形できわめて限定的に認められているに過ぎません。また、その「合理性」の有無の判断は、就業規則変更の必要性の内容・程度と労働者が被る不利益を比較することによって行われます。その際、賃金等の重要な労働条件の不利益変更については、「高度の必要性」が求められます。

今日は仕事がないから、お客さんが来ないから、利用者さんからのキャンセルがあったから、などといって事業主側が勝手にシフトを減らしたり、早く帰らせたりするのはトラブルになりやすいものです。

 

 

有給休暇関連

労働者の悩み:「うちの会社は有給休暇がない」と言われた。

→有給休暇が取りにくい状況だ。

→会社でだれも有給休暇を取った人がいない。

→会社に届けを出そうとしても受け取ってくれない。

 ※有給休暇は6ヶ月継続して勤務し、労働日の8割以上勤務した、という要件のもと、労働者に発生する権利です。まず、権利が発生した労働者の側が「何月何日に有給休暇を取ります」と申し出(「事前に」と定められています)をすることによって、事業主側が持っている「時季変更権」を行使できる状況になります。事業主側が時季変更権を行使しなかった場合、労働者の指定した日がそのまま有給休暇の日となります。

 事業主の方の中には、パートやアルバイトの人には有給休暇はないとか、正社員にしろパートにしろ、うちみたいな小さな会社で有給休暇なんか取られたらかなわないと思っておられる方が多いのは事実です。しかし、有給休暇は要件を満たせば法律上労働者に、権利として発生すると定められている以上、与えることを前提として考える必要があります。取らせない状況が続くと、結局、労働者側は自衛策として、退職するときにまとめて請求してくるケースが最近特に多くなっています。労働者側も自分たちの権利を主張してくるのは当然といえば当然のことです。退職時にまとめて取るということは、本来、労働の疲労を回復してまた元気に働いてもらうという有給休暇本来の趣旨とはずれてしまいますが、労働者側は、普段取らせてくれなかったのだから仕方ないと考えるのです。退職時にまとめて請求されると、事業主側は時季変更権の行使が事実上できないわけですから、ややもすると引継ぎもままならない状況で、退職日まで有給休暇を認めざるを得なくなります。このような状況になって、お互いいやな思いで労働契約が終了するより、普段から労働者は有給休暇を取るものだということを前提とした労務管理を考えていく必要があります。

賃金関連

労働者の悩み:賃金を払ってくれない。

※賃金を払ってくれないと訴える労働者がいる場合、中には、「思ったほどの仕事ができない」「入ったばかりなのにもう辞めたいという」「とんでもないミスをした」など、労働者側にも問題があって、事業主の側は賃金を支払わなければならないことを頭ではわかっていても、払いたくないという気持ちになっているケースが見受けられます。しかし、働いた分の給料はやはり払わなければなりません。

また、たとえば会社の車をぶつけたので賠償させたいとか、期間の定めのある契約なのに、約束した期間の前に辞めたいと言って来たとかいうケースの場合、事業主側にしてみればその分給料から天引きして残りを払いたいと思うでしょうが、労働者の側がいいと言って合意していないのに勝手に差し引いて払うことはできません。仮に本当に損害を被ったとしても、全額労働者に負担させることは難しいものです。なぜなら、事業主は労働者を使って「もうけ」を出しているからです。報償責任の原則といわれています。判例でも、労働者の側に故意やよっぽどの過失がない限り、賠償させるのは難しくなっています。

 

労働者の悩み:時間外手当を払ってくれない

→残業代の上限を決められていてそれ以上払ってくれない

→固定残業代がついているが、それより多く残業している

→固定残業代が何時間分に相当するのかはっきりしない

→タイムカードを定時に押させたあと、残業されられる

→労働時間の約束より早い時間に出勤するのが常態化している

※残業代を毎月固定した金額で支払うという方法自体は、ひとつの方法として認められているやり方です。名称も会社によってまちまちですが、固定残業制を取るのであれば、いったい何時間分に相当する残業代なのかについて明確にしておく必要があります。そして、たとえば、固定残業代が30時間分だと決まっている場合に、ある月は40時間の残業をしたという場合、10時間分の残業代は別途支払う必要があります。逆にある月は20時間の残業だったとしても30時間分の残業代は支払うことになります。ですから、固定残業制も万能ではないばかりか、結局毎月残業時間は管理しなければならないので、それほどのメリットはないと思われます。

※1分でも労働時間です。ある月の残業時間数の累計に30分未満の端数が出たときには切り捨て、30分以上は切り上げて計算するという方法は違法ではないとされていますが、1日の残業時間に30分未満の端数が出たときには切り捨て、30分以上は切り上げるというやり方は認められていません。

※残業代は、その人の時給がいくらかを計算し、残業時間を乗ずることによって求めることができます。時給制の人は時給を乗ずればよいし、日給制の人は日給を1日あたりの所定労働時間で除せば求められます。

月給制の場合の時間外手当の計算の仕方:まず、1時間あたりの賃金を計算する※東京労働局「しっかりマスター労働基準法 割増賃金編」より

計算式:月給÷1年間における1ヶ月平均所定労働時間

例:基本給235,000円、精皆勤手当8,000円、家族手当20,000円、通勤手当15,000円

年間所定休日122日、1日の所定労働時間が8時間の場合

1年間の所定出勤日数×1日の所定労働時間

(365日-122日)×(8時間)    =162(1年間における1ヶ月

          12ヶ月             平均所定労働時間)

基本給+精皆勤手当÷1年間における1ヶ月平均所定労働時間

243,000円÷162=1,500円(1時間あたりの賃金)

※繁閑の差がある業種や月の前半と後半で業務量が違うような業種の会社は、変形労働時間制を導入することによって時間外労働になる時間数を減らせる場合があります。しかし、これを導入できるのは基本的に、平均して週40時間労働に収めることができる会社です。ただ、時間外手当を減らすという目的だけで変形労働時間制を取ることは避けたいところです。しかし、これが可能な会社であれば、検討してみる余地があります。これにより労働者側もメリハリのある働き方ができる可能性があるのです。

退職・解雇関連

労働者の悩み:退職を申し出たが、今は無理と言われた。

→今は人手がたりないからだめといって認めてくれない

→もっと早く言ってくれないと困るといって認めてくれない

→勝手なことを言われても困ると突っぱねられる

→今辞めるなんてお前は恩知らずだ、と言われた

※会社は本来、就業規則や労働条件通知書などに、退職する際は「1ヶ月前までに申し出ること」とか「2週間前までに申し出ること」とか「事前に申し出て会社の了承を取ること」などと規定していることが多いので、まず、労働者の側もその決まりに則って申し出ることが必要です。ただ、退職を申し出る場合はたいてい、労働者の側も急に辞めると言ったら事業主も困るだろうということは十分わかっていることが多いので(まれにそうでない人もいますが)最低でも「2週間前には申し出たのに、事業主がだめという」とのケースが多いように思われます。

事業主としては、急に辞められては困るケースが多いのは事実です。しかし、辞めると申し出てきた人を引き止めることは事実上困難です。事業主のなかには「じゃぁ、損害賠償を請求するぞ」とか脅しとも取られかねないことをつい言ってしまうようなケースも聞きます。事業主側も人員のやりくり、補充が急に必要になるわけで、本当に困ってしまうのでついこのようなことを言ってしまう場合が多いようです。自分が事業を運営している側に立って考えると、従業員に急に辞められると困るということは容易に想像で来るはずですが、労働者の側にも「職業選択の自由」というものがあり、強制はできません。また、損害賠償を請求といっても、判例上認められたケースはごくごくまれです。人員の確保は基本的に事業主側の責務と考えることが重要です。いたずらに引き止めると紛争のタネになります。

(ちなみに使用者の側には採用の自由がありますが、これは採用するまでのことで、採用後は事業主側から簡単に労働契約を解消することはできません・・・)

 

労働者の悩み:明日から来なくていいと言われた。

明日から来なくていいと言われたら、労働者側は「クビにされた」「解雇された」と考えます。しかし、事業主側の考えも同じとは限りません。あまりに要求したレベルの仕事ができないとか、職場の輪を乱すとか、問題行動があるとかで、事業主の側が「(こんなことではあなたもたいへんでしょうから)もう来なくてもいいのでは?」、と言ったら、労働者側が「はい、そうですか」とか「わかりました」といって来なくなった=労働者が退職に同意したまたは合意したと主張する場合もあります。

労働契約の終了の形式は大別して3種類あります。

・解雇:使用者の一方的な意思表示による労働契約の終了

・退職:労働者の一方的な意思表示または労使の合意による労働契約の終了

・労働契約期間の終了、定年や休職期間の満了、死亡等による労働関係の終了

※労基法上は、このような場合に労働者を解雇してはいけません、という規定はありません。労働者を解雇する場合には予告または予告手当の支払いが必要ですと「手続き」を規定してあるにすぎません。すなわち少なくとも30日前に解雇の予告をする(予告の日数は1日について平均賃金を払うことで、その日数を短縮できます。すなわち15日分の平均賃金分を支払って15日後に解雇ということができるわけです)、予告をしない場合は平均賃金の30日分以上の解雇予告手当の支払いが必要と定めてあるだけです。ですから、よく、「不当解雇だ」「こんな理由で解雇されるなんておかしい」と思う労働者は多いのですが、労基法ではその部分に触れていないので、その理由がおかしいのか、不当な解雇なのかということは労働基準法上の問題ではなく、民事的な問題となります。

事業主の側は労基法上の手続きを踏めば、労働者を解雇することはできます。ただし、その解雇はおかしいと労働者側が思えば、それは労基法上の問題としてではなく、民事上の紛争として争っていくことになります。解雇理由を争う裁判例は、あります。裁判までいく例はそれほど多いわけではありませんが、「個別労働紛争解決促進に関する法律」による「あっせん」で争われる例は最近増えています。

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